技術解説
電波望遠鏡は天空の一点しか観測できない?

電波望遠鏡について不思議に思ったことはないでしょうか?
光学望遠鏡が画像を作り出せる原理は理解できます。
光学的に結像した画像を撮像センサ(CCDなど)でデジタル信号に変換すればいいだけです。
ところが電波望遠鏡。受信部には望遠鏡の向いている天空の一点の電波の信号しか捉えられません。
光学望遠鏡のように広範囲の画像が得られるとは思えません。
昨年、ブラックホールの撮影に成功したと言うニュースがありました。
そのときの画像は電波望遠鏡で撮影されたものです。
一体どうやって対象となる天体の画像を得られるのでしょうか?
実は、電波望遠鏡の向きを少しずつ変えて観測を行い、いくつもの観測点のデータを合わせて解析して、画像データを作り出しているのです。
そのため、1枚の画像データを得るためにはそれなりの時間がかかってしまします。
時間的な不利はあるものの、光学観測では得られない情報が数多く得られるため、
電波望遠鏡は重宝されています。
画像データを得るには電波望遠鏡の向きを変える必要がありますが、
先日崩壊してしまったアレシボ天文台のような固定された超巨大電波望遠鏡では
画像データは得られないのでしょうか?
このような巨大な固定電波望遠鏡の場合、副鏡を動かすことで、観測位置を変えています。
副鏡の可動範囲は大きくないものの、地球の自転公転と合わせ、かなり広範囲の観測が行えます。